外資系企業は日系企業と比較するとバックオフィス業務にアウトソーシングを活用する企業が多いと言われます。その中でも、よく活用されるのが経理や労務(給与計算・社会保険)などのアウトソーシングです。
ここでは、中小規模の外資系企業が経理や労務のアウトソース先を選ぶ際に注意すべき4つのポイントについて記載します。
今回、解説するポイントは下記の4つです。
- 決算直前の依頼を避けると選択肢が増える
- 常駐か非常駐かでコストを調節する
- 英語対応だと報酬が倍以上!?
- 税務、会計、レポーティングをパッケージで依頼するとお得(会計事務所を活用する)
1:決算直前の依頼を避けると選択肢が増える
外資系企業がバックオフィスのアウトソーシングを検討する際、決算での人不足を補うために、決算直前になって慌てて依頼するケースが多く見受けられます。そのため、アウトソーシング会社にとっては、外資系企業の決算が集中する11月~12月かけて急に依頼が増加することとなります。
しかしながら、外資系企業を得意とするアウトソーシング会社にとっては、この時期は繁忙期であるため人員に余裕がなく、依頼や相談があっても(依頼を受けられないのが確実なため)ヒアリングすら断るケースも見受けられます。
依頼する外資系企業側としては、こうなると明らかに選択肢が減ってしまいますので、決算期の依頼を避ける事が賢明です。
2:常駐か非常駐かでコストが変わる
アウトソーシングを利用する際、「常駐契約で常にオフィスにいてもらうのか」または「メールや電話、オンラインミーティングで連絡をとりながら非常駐で対応してもらうのか」という選択肢があります。
企業側としては、常に担当者が社内にいてくれる常駐のほうが業務がスムーズに進みやすい側面もありますが、アウトソーシング会社としては、常駐契約の場合には、高めの報酬を求めることがあります。常駐の場合、スタッフを特定の企業に専念させる必要があるため、他の業務を任せることができず、常駐するスタッフの人件費を100%カバーし、かつ、利益の出る水準の報酬を得る必要がでてくるためです。
そのため、アウトソーシングを利用する際は、なるべく常駐での依頼を避け、非常駐で依頼することによってコストを下げられる可能性も出てきます。
3:英語対応だと報酬が倍以上!?
普段から英語でのアウトソーシングに慣れている外資系企業であれば意識していないかもしれませんが、会計アウトソーシングの業界では、作業が英語になったり、英語のできる人材をアサインしたりすると報酬も高額になります。(一説では料金に3倍程度の差があるとも言われています。)
これは英語が得意な人材が少ない日本らしい傾向ですが、特に「ビジネス英会話」のできる人材が少ないため、アウトソーシング会社の間でもバイリンガル、かつ、会計や労務の専門性が高い人材を豊富に抱えているところはあまりありません。そのため、ビジネス英会話のできる人材を派遣してもらうとなると、候補者が少なかったり、報酬が割高になったりするケースも見受けられます。
こういった点を考慮して、英語力を必要とする業務を依頼する場合は、読み書き程度の英語力で対応可能な業務(なるべく英会話が必要ではない業務)に絞ることによって、コストを下げることができる可能性がでてきます。もしくは、求めるスペックの人材を派遣できるアウトソーシング会社も増えることから、アウトソーシング会社の選択肢を広げることもできます。
4:税務、会計、レポーティングをパッケージで依頼するとお得(会計事務所を活用する)
外資系企業の場合、本国やアジアパシフィックなどの地域統括会社へのレポーティング用に、日本語と英語の両方で作業を行わなければならないため、日系企業よりも作業量が多くなるケースもあります。
会計であれば、日本の税務申告・会社法への対応とは別に、本国の会計基準でのレポーティング資料の作成を行う必要がありますし、人事・給与であれば、年末調整などの日本特有の作業が発生するため、日本の労務に関する知識を持った人間による対応が必要となります。
こういったケースにおいて、アウトソーシング会社や会計事務所、社会保険労務士事務所などそれぞれと契約を結んでいくとコストが高くなってしまいますが、会計・税務から労務、アウトソーシングまでフルパッケージで対応できる会計事務所を利用してコストを下げるという方法があります。
その際、外資系の大手会計事務所を利用するとやはりコストが高くなってしまいますので、中小規模や準大手の会計事務所を利用することによってコストメリットを享受できる可能性が高まります。
以上、中小規模の外資系企業が経理や労務のアウトソース先を選ぶ際に注意すべき4つのポイントでした。
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